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札幌で生きる〜フリーライターという仕事
第18回 フリーライターの経営戦略

「粗利益」や「費用対効果」といった言葉をご存知だろうか。もしも知らないのであれば、フリーライターになるのは、まだ早い。フリーライターが「雇われライター」と違うのは、れっきとした個人事業者であるということだ。経営についての知識がなければ、弱肉強食のビジネスの世界であっというまに負け組になってしまうだろう。

この業界は、いつでも人手不足である。つねに実力のあるライターを求めている。にもかかわらず、原稿料は下がる一方である。「需要が供給を上回れば、価格は上がる」という経済原則がなりたっていない。これは、多くのフリーライターが経営感覚を持っていないからである。

一番間違っているのが「来た仕事は断らないのがプロ」という常識。本当のプロは、仕事に対して適正な報酬を要求する。先に金額が提示されていれば、それに見合う分の仕事をする。安い価格で質の高い労働力を提供するのは、ボランティアである。

そして「どんな安い報酬でも、いい仕事をしていれば、必ずチャンスが来る」という妄想。安い仕事で評価されると、次にくるのはもっと安い仕事である。

中には「原稿料は安いですが、やりがいがある仕事です」「原稿料は安いですが、大手の仕事なので実績につながります」というようなことを恥ずかしげもなく言う編集プロダクションもある。そのほとんどは、原稿料を安く抑えるための言い訳にすぎない。そんなものに惑わされているうちは、安くこきつかわれるだけである。

そんなクライアントとはさっさと縁を切って、自分を高く買ってくれるところを探す方がいい。

フリーライターの基本的な経営戦略は、1.質の高い原稿を書く、2.質に見合った報酬をもらえる仕事を選ぶ、ということである。

質に見合った報酬を考える時に重要になるのが、「仕事にかかる時間」である。たとえば、取材に1日、原稿執筆に2日、校正に1日とられたとする。これで原稿料が3万円。1日の労働時間を8時間とすると、総労働時間は4日×8時間=32時間。1時間あたりの報酬は、3万円×32時間=937.5円。割のいいアルバイトと、あまり変わらなくなる。

ここで間違えてはいけないのが、「原稿料は売上高であって利益ではない」ということである。打ち合わせにかかる経費、電話代・プロパイダ料、パソコン・プリンタ等の機材の維持費、今後の営業経費に回すための貯金など、この中から捻出しなければならない。こうなると、法律で定められているアルバイトの最低賃金以下の利益しか得られなくなる。

まずは正しい金銭感覚をつかむために、簡単な経営学の本を何冊か読んでみることをおすすめする。ただし、「どんな安い仕事でも大事に」と書いてあるような本は、買ってはいけない。

「経営の話は難しくて、よくわからない。自分は文章だけ書いていきたい」というのであれば、独立せずに企業に属していればいい。必要なことは、会社がすべてやってくれる。

「お金のことばかり考えるなんて、プロのライターとして恥ずかしい」という人もいる。世間知らずもいいところである。どの業種でも、プロとして高い品質のものを持続的に提供しているのは、お金の管理をしっかりとしているところばかりだ。

現在、このことに気づいているフリーライターは少ない。もしも、あなたが実力を持っていて、さらに経営感覚を身に付けたならば、容易に勝ち組になれるのである。