学校卒業後、すぐに札幌でフリーライターとして仕事を始めるのは不可能に近い。現場経験のないライターに仕事を頼む編集プロダクションや新聞社はない。だから、出版社や編集プロダクションに就職して編集者としての経験を積み、独り立ちする自信がついてからフリーライターになるのが現実的だ。
出版物がどんなふうに企画され、どんな行程を経て、読者の手に渡るのか。全体の作業の中で、ライターはどんな立場にあり、何を求められるのかを知っていた方がいい。いや、知らなければ、フリーライターとして円滑に仕事ができない。
編集者は、雑誌や書籍の企画を立て、ライターやカメラマン、デザイナーに作業を割り振り、印刷会社とのやり取りを担当するのが仕事だ。
東京の大手出版社や編集プロダクションの編集者は文章を書くことが少ないようだが、札幌の編集者はライター業務も兼ねることが多い。会社の規模が小さく従業員数が少ないことやクライアントからの予算があまり多くないことなどから、「取材が必要な手間のかかる原稿」のみを外注ライターに出し、そのほかの簡単な原稿は編集者が書いているからだ。営業活動も強いられる場合もあるので、「編集者って何者?」と思っている人も多いに違いない。その良し悪しは別として、札幌で編集者として働くと仕事全体の流れを見渡せるし、さまざまな作業を経験できる。
フリーライターとして仕事をするときに、全体の流れを知っていれば、仕事内容やクライアントの要望などの微妙なニュアンスが理解できるし、自分に何が求められているのかも適切に判断ができる。原稿料が適当かどうかも見極められる。
しかし、編集者の仕事はキツイ。給与は低い。残業代なしの深夜労働や休日出勤は当たり前だ。「このままでは、友達も、恋人も、健康も失ってしまう」と言って辞めていった女性編集者を私は何人か知っている。疲労で入院した編集者もいる。
転職率が高いところは、2、3年周期でスタッフが入れ代わる。見切りが早い人は3カ月もいない。だから、今すぐ就職口がなくても諦めないで探していれば必ず募集広告が出る。経験者優遇が多いと思うが、とりあえず連絡を入れてみる。探すときは、一生働く職場として考えない方がいい。フリーライターを目指すなら、出版社や編集プロダクションは修行の場だ。何年か、何社かで必死に仕事をする。そこで何を身に付けたかが、その後の人生を大きく左右することになる。
独立の目安は20代後半から30歳まで。経験と体力の両方がある状態で走り出したい。フリーライターとして仕事を続けて行くには、かなりのエネルギーが必要だからだ。