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札幌で生きる〜フリーライターという仕事
第12回 マスコミ業界に必要な資格?

“仕事に結びつく資格・成功例大公開! 自宅で気軽にできて確実に身につく通信講座ガイド” という雑誌付録が手元にある。中を開くと『憧れの仕事ランキング第1位』に“テープライター”の文字が踊る。テープライターとは、講演会や会議などの録音テープを文章に書き起こす職業だ。

“在宅で高収入!”“多くの業種から需要急増!”“登録後すぐに仕事が!”という見出しの横に、テープライターの技能認定試験に合格して大成功している20人のコメントがズラリと並んでいる。

「テープ起こしは収入がいい」「小さな子どもがいても家でできる」「自宅で空いた時間に働けるから、ストレスがたまらない」「飽きることがないこの仕事はおすすめ」「地方に住んでいても大丈夫」「ひと月平均10万円の副収入」「楽しみながらできる、知的な仕事」

大ウソである。

テープ起こしの仕事はライターに依頼されることもある。私も何度か講演会や会議の記録テープを起こしたことがある。2時間の講演会テープで、朝から晩まで作業をして3日間かかった。講演者の声に会場からの咳払いが重なったり、早口で聞き取れなかったり、聞きなれない固有名詞が出てきたりと、音声を正確に聞き取ることが難しい。また、話し言葉には無駄な繰り返しや意味不明の指示代名詞が多いため、そのまま文字として並べると文章にならない。話しの筋が通るように主語や述語を加え、無駄な繰り返しを削除する。

単純な作業だが、集中しないと作業はできない。2時間の講演会のテープ起こしで打つ文字数は2万5000から3万文字にもなる。3時間の会議で6万文字(A4にプリントして30ページあまり)というのもあった。

耳はイヤホンがあたって痛いし、首や肩はこるし、長時間座ったままなので背中も腰も痛む。疲労感は最大級。プロのライターも唸る、大変な重労働である。

2時間のテープ起こしの報酬は3、4万円だが、成功者のコメントを整理すると、“登録後すぐに仕事が入り、空いた時間に楽しみながら作業をしたら、なんと高収入が得られた”ということになる。

しかし、テープ起こしを仕事にするのに技能認定試験の合格証など必要ない。需要は多くなく、通信講座を修了したテープライターもたくさんいるので、ひとりのテープライターに仕事がどんどん入ってくることは絶対にありえない。

新聞にテープライター講座の広告が掲載されるが、間違っても信用してはいけない。同様の広告に「校正資格があるとマスコミの就職に有利」というがあるが、そんな話は聞いたことがない。